で、また「国境」?――なんだか腑に落ちないこと

いわゆる特定外来生物被害防止法」(「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」)のことです。
はてなマークが、そろそろと頭をもたげてくるんです。

先に書いたように、外来種」というのは、国境に関係が無いので、「国外外来種」「国内……」という分類もあるわけですが、この法律は、「国外……」を念頭に置いたものなので、「国内……」については関係ありませんよ〜。そっちは別口で……」という環境省の(最初の)パブコメへの回答がありました。
それならそれでいいんですけれども。

外来種」一般がそうとされているのですが、「侵略的移入種」といったときには、「別の生態系から持ち込まれた――自然に入り込んでも一緒なのでここを生物学者ならぬ環境倫理学者はおかしいと言っているのですが――元々の生態系には存在しなかった種が、その生態系に入り込むと『既存生態系の攪乱』『在来種の大幅な減少・絶滅』その他『想定外のこと』を引き起こす『可能性が高い』」ということなんですよね。その可能性が高いとされる種を指して「侵略的移入種」と呼んでいるわけです。

そして、実際に、その「侵略的移入種」が、実際にその生態系で「侵略的」に振る舞うかどうかは、振る舞うかもしれないし、そうでないかもしれない。国外での事例などについても、この法律の「基本方針」で言われているように、参考にする必要があるが、国内の生態系とは異なるから、そこは配慮しなければならない、というような断り書きがあるのですが――。

――でも。

「国内……」まで含めると収集がつかなくなるから、とか、水際作戦で国境で……というのはわかるのですが、しかし、「侵略的移入種」の定義と、「帰化種は国境を連想させるからやめよう。これからはそれぞれの生態系(自然分布)単位で」というのを考え合わせると、何故に、ここに来てまた「国境」? と思ってしまうわけです。

水口憲哉さんなどは、はしょっていえば、浅瀬や水生植物群が保全され、水質汚濁が進んでいない、在来魚が健全に生息しているところにおいては、外来種が入り込んでも、増えっぱなしということはあり得ず、馴染むものだ、、むしろ在来魚も生息しにくい状況にしてしまった環境破壊の後に、外来種が一定数入る隙間が出来ただけ、といった主張をされていて、古くは、故開高健さんも、ブラックバスにしても、アメリカの研究では、増えると産卵を抑制するメカニズムがあることがわかっている……という言葉を遺しておられるのですが、それはともかくとしても、「国境」を抜きに「生物学的に正しく考えるなら」(?)、国内の生態系においても、移入された種が、そこで「侵略的に振る舞うか否かは異なるはずで、それは、本当に様々なレベルの状況が考え得るわけです。

とくに、ブラックバスのような場合、その生態系に定着して久しいものがあります。

とどのつまり、焦点は、あくまで「拡散」にあるのであって、それを「国」一律で「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で「指定」して……ということを考えると、冒頭のはてなマークが脳内に湧いて出てくる(笑)のです。果たして?????という。